3人が本棚に入れています
本棚に追加
だからこそ、ここが“夢”なのだと気付く。否、この世界が例え現実であっても、俺がすぐに現実だと認識することは、万に一つもないだろう。
もし、俺がこの光景を自然に肯定したならば、俺の頭は狂ってる。
“最後の世界”と言うべきだろうか。“廃墟の世界”とも言えようか。町の一望できるその丘で、俺は5日前と同じ感想を抱いていた。
何とか残ったビルの残骸や、枯れ果てた風景を見て、“町だった”のだと気付くレベル。
それほどまでに、原形も無くなった姿。
この世界は、死んでいた。
荒廃した町。その上から降り注ぐ、光。星みたいだ、と思ったのは一瞬。それらは、流れ星の如く落ちていき、炎と共に町を燃え尽くす。荒廃した町は、あっという間に炎に包まれた。
青く煌めく空と、燃え上がる炎。それは、異様であり、恐ろしいはずなのに、不思議に見とれてしまう。
だが―……
「これで5日目。もううんざりだ」
俺は辺りを見渡す。ここは夢だ。それだけは、確証だと言える。
.
最初のコメントを投稿しよう!