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「昨日は楽しかったね」
里奈はいつもどおりニコニコしながらそう言った。
「今日、ちょっと数学の宿題、教えてもらっていい?」
「ああ、じゃあまた靴箱でね。」
昼休みの教室は、人でごった返している。
人ごみは苦手だ。
屋上へ行こうと、席をたった。
「あっ」
舞ちゃん。
ちょうど、うちのクラスの前の廊下を通った。
「ちょっと、いまあの子狙ってるんだよね」
里奈は舞を見て、ああ、あの子ね。と呟いた。
「行ってくる。」
「どうぞー。」
また里奈はひらひらと手を振って、送り出してくれた。
「舞ちゃん。」
肩をポンと叩いた。
「あっ、昨日の。」
一瞬で、眉をひそめた。
どうやら舞ちゃんは、俺のことが嫌いみたい。
まあ、そうだよな、昨日のはしつこかったかも。
「今からどこ行くの。」
「数学分割教室」
「なんで?」
「授業」
明らかに素っ気ない。やばい、大分と警戒されてる。
「そのピアス可愛いね。
女子の左耳のピアスって、同性愛者って意味らしいけど、そうなの?」
あまりにも構ってくれないから腹が立って、ちょっと意地悪く言ってしまった。
「んなわけないじゃん!私は、ノーマルだよ。彼氏だっているし」
急に焦り出してる。やっぱりこの子は可愛い。
「じゃあなんで、左耳?」
「それは…」
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