最終話 ~全ては、一つ~

3/3
71人が本棚に入れています
本棚に追加
/69ページ
「・・・彩華。」 「・・・蒼空。」  自然と目と目が合い、お互いの顔も・・・引き寄せられていく。 「「――――。」」 二人の唇が・・・・優しく重なった。 言葉に出さなくても、体全体から伝わっていく・・・気持ち。 ――――『愛してるよ、彩華。』 ――――『愛してるわ、蒼空。』  お互いの気持ちが、重なり合ったそこから・・・・伝わっていく。  そんな二人のやりとりを、じっと見る視線があった。 「・・・・おー。オレがいる前でよくもまぁ、見せつけてくれるなぁ。」  ニタニタと嫌な笑みを浮かべる、司がそこにいた。  二人は我に返り、すぐ離れて顔を赤くした。  司もいる事を忘れて、二人だけの世界にトリップしていた事が・・・何だか恥ずかしい。 「オレはお邪魔みたいだし、そろそろ帰るよ。」 「ちょっ・・・何言ってんだよっ!」 「オレもおまえらみたいに、“そんなこと”したくなっちまったって言ってるだけだけど?」  席を立つ司が、嫌な笑みを浮かべたまま蒼空を見る。 「・・・っ、じゃあさっさと帰れよっ!バカツカっ!」  蒼空はさらに顔を赤くして、部屋を出ていく司に言った。・・・もちろん、冗談半分だか。 「ははっ、じゃあまたな。」 そうして・・・今度こそ本当に、二人きりになった。 「まったくもう。なんでああいうからかい方するかなぁ、あいつは。」  今度は同じ事をして仕返ししてやろうと、蒼空は決意した。 「―――蒼空。」  先ほどと同じように返事をしようと、彩華の方を振り返る・・・。 「何だ――――。」  それは、柔らかな何かに・・・またさえぎられた。 ~fin~
/69ページ

最初のコメントを投稿しよう!