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* * *
「・・・・はぁ・・。」
僕は窓から見える、外で元気に走りまわっている子達を見て・・・溜息をついた。ついさっきまで自分もあの中にいたのに―――。
クラスの子達と遊んで走りまわったせいで、呼吸困難を起こしてしまった。それも滅多に起きないくらいの意識を失うくらいの酷い方で。それをちょうど通りかかった先生に助けられ、抱っこされて今いるこの保健室に辿り着いた。
苦しくならなければ、僕は、この保健室のベットになんて・・・いなかったのに。
――――どうして僕は、こんなにもみんなと違うんだろう?
――――どうして僕は、みんなと同じ事が出来ないんだろう?
そんな考えが頭の中をぐるぐるした。こんな時、自分を支えてくれる存在がいたらいいのに。『クラスメイト』じゃなくて、こんな体の事を知っても、ちゃんと『友達』でいてくれる・・・そんな人がいたらいいのに。
* * *
その時、保健室の扉が開いて、一人の少年が入ってきた。
「先生、かけっこしてたら転んじゃって。」
保健室の先生はその子をイスに座らせ、ケガをした所に処置を施す。
ふと、それを見ていた蒼空とその子の目が合った。
「君、どうしたの?具合でも悪いの?」
その子が近寄ってきて、蒼空の顔を覗き込む。
「・・・・悪いから、ここにいるんだろ。」
当たり前な事を聞いてくるその子から顔をそむけて、冷たく答える。
そんな彼に、その子はもっと近寄ってきた。
「あぁ、それはそっか。で?大丈夫なのか?オレ、家まで一緒に行ってやろうか?」
「・・・・え?」
全くの初対面のはずなのに、その子は優しく声をかけてきた。
「だからぁ、一緒に帰ってやろうかって話。」
「・・・・ごめん。親が迎えに来てくれるから。」
「そっか、残念。じゃあ今度、一緒に帰ろうな。」
そう言って保健室を出て行くその背中は『一緒に帰りたかったなぁ』と言っているようで、蒼空は思わず笑ってしまった。
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