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「ついこの間の検査結果なんですが・・・・また数値が下がりはじめているようで。」
「少し下がるのはいつものことだろう。先生、何を言いたいんですか?」
今まで何度も検査をしているが、結果に関して時々数値が下がる事はよくある事だった。少しでも体調に変化があると、よくこういう事が起こるので、京哉は藤岡の言いたい事がわからない。
「それはそうなんですが、いつも以上に数値が下のようですし。それに学校からの話から考えると・・・蒼空君の体力が低下してきているのだと思いまして。」
学校での事は京哉も聞いていたので、気にはしていた。最近の蒼空は、授業中に具合が悪くなったり、せっかく学校に登校したのに、突然発作襲われたりして保健室で過ごしている時間が・・・以前より増していた。
「・・・そうですか。なんとなく最近のあの子は何か変だとは思っていたが。」
やっと藤岡が何を言いたいのかに気づき、京哉は溜息をつく。
「またそのうち、長期入院しなければならないのか・・・あの子は。」
「今はまだ大丈夫ですが、いずれ・・・近いうちにそうなるでしょう。」
京哉は再び溜息をつき、少し辛そうな顔を見せた。
「・・・またあの子にとっての“自由”を、奪わなければならないのか。」
「そうなりますね。・・・きっと蒼空君は、嫌がるでしょうね。」
せっかく学校にまた通えて、日常生活を送っている蒼空にとっての“自由”。それを奪ってしまうのが嫌なのは・・・藤岡も同じだった。
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