モノローグ

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桜色の花びらが舞う、4月の上旬。 個室で、女性と男の子が話している。 窓の外では、太陽が明るく春らしい陽射しを、植物に注ぎ込んでいた。 ピンク色の桜の花びらも、黄色い菜の花の花びらも、そこらじゅうに咲いている名も分からない花も、気持ち良さそうにその光を浴びている。 そんなウキウキとした新しい季節の始まりの雰囲気とは裏腹に、個室の男の子は、頭を項垂れている。 ……頬を雫が伝っていた。 その様子の彼に、女性は、言葉を掛けた。 「……私は、ただ貴方が笑ってくれるだけで良いの。」 「ね?だから、泣かないで。」 その優しさに触れた瞬間、男の子の胸の中に、ある感情が生まれた。
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