1.あたしの名前

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「はい!いらっしゃいませ!何でしょう!?」 あたしは、営業スマイルを作り、女性に顔を向けた。 「声、大き過ぎるわよ!お店の外まで響いてたわ。いやーねー!」 常連のお客さんだ。クレームをつけられて、あたしはムッとした。 「あはは~。すみません。」 口ではそう言いながら、内心では (良いじゃん、元気があった方が、お店が活気づいて。) と、モヤモヤと思う。 「お客様、本日はどのようなものをお探しでしょうか?」 苛立ちが表情に出やすいあたしは、なるべく顔をしかめないようにしながら、話題を変えた。 「あなたじゃないのよ!用があるのは!ほら、いつも眼鏡のお兄ちゃんいるじゃない?あの子連れて来て頂戴。」 「あ、はい。」 もー、本当感じ悪いな、このおばさん。 クレームの次は、「用が無い」だもんなあ。 「分かりました。只今、呼んで参りますので……。」 嫌悪の念を抱きながら、あたしはその女性に背を向け、「眼鏡のお兄ちゃん」と呼ばれたスタッフを呼びに行こうとした。 すると。 「ミヅキさん。」 と言う声が聞こえ、若い男性店員スッとが私の側に現れた。
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