グラウンド・エデン

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 ふと、コックピットの暗視ディスプレイ越しに一筋の光が映る。遥か先の岩肌から差し込む光に吸い込まれるように彼は加速した。 「光?……まさか……地上っ!!」  彼は暗視モードを解除すると、肉眼に映し出されたまばゆい光に目を奪われる。彼の間近まで迫ったロボット達のことなど気にならなくなっていた。  彼は勢い良く飛び上がると、脚部に装備された加速装置から暖色の炎を噴射させた。地面に引き込もうとする重力を引きはがし、上へ上へと上昇していく。急に方向を上へと変えた少年に対し、僅かに出遅れたアンドロイド達もすぐに再シュミレートを終え、彼の後に続く。  猛スピードで上昇する少年はごつごつとした岩と岩の間をすり抜けて行く。疾走する少年は眩い光を遮るように左手を伸ばすと、その元へと最短距離で進む。途中、岩肌に体を激突させて体制を崩したが、それでも速度を落とすことはなかった。  機体の腰に格納されていた片手に収まるサイズのハンドガンを取り出す。ハンドガンといっても、機体の手に収まるサイズだから少年と同じくらいの大きさだ。彼は狙いを定めると、前方に突出した岩礁目がけてトリガーを引く。  弾むような衝撃と共に、前方の岩が砕けたが、その岩は少年の機体よりも高い位置にある。重力を得た砕けた岩岩がこちらへと振ってきた。  右に左に、少年は手元の操作で蛇行運転すると、それらを何とかやり過ごす。そして僅かに後方に視線を移した。  少年の後ろにいたアンドロイド達はすぐさま前方の障害物を確認すると、完璧なシミュレートで最短距離を割り出すとそれらを躱していく。  だが、完璧な機械にも誤作動は起こる。一番後方にいたロボットが、前方を走る別のロボットに邪魔され動きを止めた。  その上に砕けた岩が激突すると、制御を失ったロボットは火花を散らして岩礁の壁に追突した。
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