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それらの問題をいっそう目茶苦茶にしてしまいそうなのが、前々からの笹原の意見だ。
「ねぇ淺田先パイ。まず疑うべきは第一発見者でしょう?たいてい最初に現場にいた人が犯人だったりするじゃないですか」
「決め付けるなよ……」
第一発見者は、同じく高等部二年の男子生徒。朝比奈とは同じクラスで、彼女と共に図書委員を務めていた。
だが、接点はそれだけだ。
科学準備室には自由研究に使う道具を受け取りに行った。ノックをする際に叫び声が聞こえ、中を覗いてみるとそんな有様であったため、急いで先生に報告したのだと言う。
「淺田さん、一つ訂正点が」
突然聞こえた別の声に俺も笹原もビクッと体を揺らした。
「おい!ノックしろって言ってるだろいつも!」
「あっすみません、つい!香原警部の相手したあとだと気が緩んじゃって……」
南浩介[ミナミコウスケ](25)。新米の若手刑事。謙虚でありながら自分の意見をしっかり言える真面目な男だ。笹原の幼馴染みらしいが、彼らが仲よさげにしているところは見たことがない。
「どうです?武一の奴はちゃんと働いてますか?」
「意欲はあるぞ。勤務姿勢はあまり評価できないけどな」
不満そうに顔をしかめる笹原を横目に、俺と南は苦笑した。
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