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「納岳手市内に、モンスターが入れない…?」
「そう。」
奥山の話によると、登校中に半人半牛の怪物「ミノタウロス」に遭遇したらしい。
敵があまりに巨大なため勝機を見いだせず逃げだした奥山だが、ミノタウロスは彼女を追いかけて来た。
数十メートル逃げたところで納岳手市に入ると背後で何かぶつかる音がしたらしい。
振り替えると奥山の後ろでミノタウロスが斧を降りおろしていた。
その斧は空中で透明な何かに阻まれ弾かれていた。
斧では駄目だと判断したのかミノタウロスは数歩下がると奥山に向かって突進してきた。
もう一度ぶつかる音がして、ミノタウロスは後ろに吹っ飛ばされ、動かなくなった。
「…それで?」
「そこで、納岳手市内には人間は入れるけどモンスターは入れないみたいだって気づいたの。」
相変わらず淡々と彼女は話した。
「…だから納岳手市内にモンスターがいなかったのか…」
「…なぜ入れないのかは、わからなかったけどね。」
「とにかく、市内にいれば安全って事だな?」
「今のところは、多分ね。」
危険だとしても、いやだからこそ、市外に出なければ9月を迎える手掛かりが得られないかもしれないけどね‐と。
彼女はやはり淡々と言った。
「それと。」
彼女は言った。
「どうした?まだ何か…」
「私まだ朝ごはん食べてない。」
「………とりあえずコンビニでも行くか…」
「ヘブントゥエルブがいい。」
「……へいへい。」
奥山のおかげで肩の力が抜けた。
天然なのか計算ずくなのか…
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