1章

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コンビニ「ヘブントゥエルブ」の中。 やはり電気は生きているらしく、アイスや飲み物などは程よく冷えている。 「…これと、これと、これと…」 奥山はというと。 ひたすらにパンをカゴに詰めている。 お握りや惣菜はなぜかほとんど無い。 零時に人が消えて輸送されて来なかったのだろうか。 俺はスポーツドリンクを数本ととりあえずアイス<カキゴリ君~漆黒の桑ノ実風味~>、スナック<美味なる棒冷奴味>をカゴに入れた。 「さてと、お会計っと。あれ?奥山?」 既に2カゴ目のカゴにパンを詰め込んだ奥山は、カゴを持ったまま店から出ようとしていた。 「いやいやいやいや!!ちょっと待て!奥山!」 「なんで?」 「さすがにそれはマズイんじゃ…」 「なんで?」 「お金…払わないと…」 「なんで?」 「…………」 俺は説得を諦めた。 確かに誰もいないしお金を払っても意味がないかもしれない。 とりあえず自分の分だけでも払っておこうと千円札をレジに置き、コンビニから出た。 コンビニの外でカキゴリ君を食っていると、4つ目のクリームパンを食べおわったらしい奥山が喋りかけてきた。 「舞崎くん。」 「ん?どうした?」 「もうひとつ、寄るとこがある。」 「もうひとつ?」 「うん。付いてきて。」 「へいへい…お、当たりだ。」 カキゴリ君が当たった。 こんな時に限って。
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