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コンビニ「ヘブントゥエルブ」の中。
やはり電気は生きているらしく、アイスや飲み物などは程よく冷えている。
「…これと、これと、これと…」
奥山はというと。
ひたすらにパンをカゴに詰めている。
お握りや惣菜はなぜかほとんど無い。
零時に人が消えて輸送されて来なかったのだろうか。
俺はスポーツドリンクを数本ととりあえずアイス<カキゴリ君~漆黒の桑ノ実風味~>、スナック<美味なる棒冷奴味>をカゴに入れた。
「さてと、お会計っと。あれ?奥山?」
既に2カゴ目のカゴにパンを詰め込んだ奥山は、カゴを持ったまま店から出ようとしていた。
「いやいやいやいや!!ちょっと待て!奥山!」
「なんで?」
「さすがにそれはマズイんじゃ…」
「なんで?」
「お金…払わないと…」
「なんで?」
「…………」
俺は説得を諦めた。
確かに誰もいないしお金を払っても意味がないかもしれない。
とりあえず自分の分だけでも払っておこうと千円札をレジに置き、コンビニから出た。
コンビニの外でカキゴリ君を食っていると、4つ目のクリームパンを食べおわったらしい奥山が喋りかけてきた。
「舞崎くん。」
「ん?どうした?」
「もうひとつ、寄るとこがある。」
「もうひとつ?」
「うん。付いてきて。」
「へいへい…お、当たりだ。」
カキゴリ君が当たった。
こんな時に限って。
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