1章

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「ここは…」 「そう。ホームセンター。」 無言で歩き続けていた奥山が立ち止まったのはホームセンター「パズス」の前だった。 「ホームセンターでなにするつもりなんだ?」 「あのミノタウロスを倒す道具を調達するの。」 「…?ミノタウロスは吹っ飛ばさたって言ってなかったか?」 「あの程度で死ぬような奴じゃない。武器がないとミノタウロスは倒せないわ。」 「ホームセンターで武器って…チェーンソーでも持ってくのか?」 「その武器だと、こっちも無事じゃ済まないわ。」 「じゃあどうやって…」 「黙って付いてきて。」 「へいへい……」 数分後。 ホームセンターから出た俺は、大量の金物の入ったビニールと、大きめの金槌、さらにヘブントゥエルブのパンが入った袋を持って奥山の後に付いていた。 で、なんでお前は手ぶらなんだ奥山。 いつの間にか俺は奥山がコンビニから持っていっていた大量のパンまで持たされている。 奥山がホームセンターから略奪(お金を払っていない)したのは太いワイヤー、、ワイヤーの留め具、釘、杭、鉄筋、ヤスリ、あとは金槌だけだった。 武器になりそうなのはハンマーと、ヤスリくらいか?こんなもので何をするつもりなんだろうか 。「とりあえず準備のために学校に戻るわ。」 奥山は急にこちらを振り向いて言った。 「お、おお…」 学校までは少し距離がある。 「奥山。荷物ひとつ持ってくれないか?」 「わかった。じゃあパンの袋貸して。」 「はいよ。ありがとな。」 「うん。」 なんか、俺こいつに振り回されてないか? 袋の中からクリームパンを取り出して食べ始めた奥山を見て俺はそう思った。 にしてもクリームパン好きだな、奥山。
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