1章

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納岳手高校、技術室。 すでにもう時刻は昼に近くなっている。 「とりあえずワイヤーを三分の一の長さにして。」 「あいよ。」 彼女が略奪したワイヤーの長さは明らかに百メートルを越えている。 俺はまだこのワイヤーを何に使うかも教えてもらっていない。 太いワイヤーに少し手こずったが、なんとか作業を完了した。 その後ワイヤーの両端を輪にして、留め具をつけている間、奥山がカバンの中身を全部外に出し、杭やヤスリを中に入れたり、鉄筋を束ねたりしていた。 準備が終わった時には正午を過ぎていた。 ワイヤーや杭、ヤスリ等は奥山のカバンに入れて学校に置いておき、パンの袋は奥山が持ってかえるらしい。 奥山はクリームパンを食べながらスマホを操作している。 いくつめなんだろうか。 「じゃあ私は家へ戻るわ。色々調達するものがあるし。」 「お気をつけて…」 「明日はミノタウロスを倒しに行くわ。舞崎君も明日8時にここに来て。」 「あいさー…」 多分俺は荷物もちだろうな。 この大荷物で、モンスターに初めて遭遇する… 悪夢でしかない。 「舞崎君、足震えてる。」 「いやこれは武者震いだよ!」 「そう…ならいいわ。」 本当はただ荷物の重さと、初めて会うモンスターが恐いだけですが。
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