1章

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「嘘…だろ…」 俺は確信した。 8月32日は時計の故障ではないと。 こんな9月1日があってたまるか、いやあってはならない。 混乱している俺を嘲笑うかのように龍は再び咆哮し、どこかへ飛んで行った。 「どうなってるんだよ…」 人が居ない。本来存在しない生物が居る。 1日でこんな変化が起こるなんて… 消えたみんなは無事なのか? 他人を気遣える立場では無いと気づくのにそう時間はかからなかった。 友にも、先生にも、隣人にも、家族にさえも会えないかもしれない。 いつの間にか俺の目から涙が溢れていた。 「…っ、ああああああああああああああ!!!」 俺の慟哭の声は、龍の咆哮より大きかったかもしれない。
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