1章

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泣き疲れて、気持ちが落ち着き始めた時、俺は教卓に紙が置いてあるのに気づいた。 そこには整った字でこう書かれていた。 「学校内を探索しています。9時には戻ります。」 時計を見ると8時55分だった。 二十分、俺は泣き続けていたことになる。 誰かの足音が近づいてきた。 足音は教室の前で止まり、扉が開いた。 教室に入って来たのは普段あまり交流のない、奥山 空衣那だった。 俺だけでは無い。 奥山は普段誰とも必要以上に喋らなかった。 誰かと馴れ合うのを嫌っているような雰囲気だった。 誰も声をかけられなかった。 「あれ、いたの。」 そんな奥山が俺に声をかけた。 初めて話すのにしては馴れ馴れしく。 知り合いにしてはよそよそしく。 全く表情を変えずに。 「お、おう…」 俺は弱々しく返事をすることしかできなかった。
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