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視線を向けた先には、怒っているのか、姉が二人を睨みつけていた。
それを見下して、朔月は微笑み続ける。
「あちらへの道を開きます。
その方はこの繊月がお連れしますので、有明殿は朔月と一緒に参らせませ」
そう言って、狐面で顔を隠した男は、倒れた望月の身を軽々と肩におぶって女を窺った。
姉と男が自分に続くのを確認し、朔月は一度手を大きく横一文字に薙ぐ。
その途端に再び強風が吹き荒れ、花嵐が巻き起こった。
ものすごい嵐に、女が目を固く閉じる。
「もう、大丈夫ですよ」
朔月のその声に、再び女が視界を開いたお気には、目の前の風景は既にがらりと世界を変えていた。
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