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パシャんっっ…ーーーーー
水が跳ねる音がして、はっと意識を取り戻す。
冷たい感覚に視線を下げれば、
腰まで水に浸かった自分がいる。
水は汚れないほど清く、足元まで透明に見通せた。
一糸まとわぬ状態で、髪も濡れている。
先ほどの水音は、髪から滴り落ちた水の音だろうか?
「はて…?」
曖昧な記憶を繋ぎ合わせようと考えを巡らせるが、
繋がらない記憶に首をかしげる。
いつここにきて、いつからこうしていたのか。
長い黒髪はたっぷり水を含んでいて、ずっしりとしている。
空からはキラキラと木漏れ日が差し込み、
まだ陽の明るい時間帯だということは伺える。
「朔月」
呼ばれて、声の方に視線を向ける。
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