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「何をおっしゃってるんですか。
今日は姉姫様が『若宮様』をお連れして祝言を上げられる日じゃないですか。
式を行うのは一族の筆頭である朔月の役目。
その為の禊でございましょう?」
そこまで聞いて、やっと意識が繋がった様に思考がはっきりと晴れ渡っていく。
「あぁ…。
そうか…。すまぬ…、そうだった…」
見上げた空は雲一つない快晴。
正に嫁入り日和。
「懐かしい……」
戻ってくる。
懐かしい。
この国に、あの方が戻ってくる。
「戻り次第、儀式を行う。
―――――雨を降らせよ!!」
今日は嫁入り。
狐の嫁入り。
逢魔が時。
神代の世界の扉が開く。
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