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「朔月殿?」
呼ばれて朔月はハッと顔を上げた。
「朔月殿?」
もう一度名前を呼ばれる。
向けた視線の先には心配そうに自分を眺める望月の顔。
「ここは…」
「え…?」
記憶が曖昧で、はて自分は社の湖にいたのではなかったか?
「望月様と街に散歩に出られたでしょう?」
思考を巡らせると、落ち着いた声がそれを遮った。
声のする方を見ると、そこには狐面の男が立っている。
「繊月」
「あぁ繊月殿追いつかれたか」
名前を呼ぶと繊月は近寄ってきて、朔月の少し後方で止まった。
そこが付き人である彼のいつもの立ち位置。
「望月殿がここに来られてもう三日目でしょう?
そろそろお暇を持て余してしまっているから、
街の案内でもとお出かけになられたではないですか」
言われてそうだったかと思い返す。
確かにそういった記憶が蘇り、「あぁ」と繊月は頷いた。
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