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「嫁入りだー。
嫁入りだよー。
狐の姫の嫁入りだー!!」
小物の妖達が大通りをちょこちょことせわしなく走り回り賑やかな通りを更に囃し立てて行く。
「若宮様が、お戻りだよー!!」
活気付く大通りを行きかうのはどこもかしこも妖のみ。
ここは妖が住む常世。
神代の世界。
煌びやかな者のみで彩られ、四季折々の花々が咲き誇る百花繚乱の世界。
現世では今頃はきっと雲一つない快晴なのに、シトシトと雨が降り続く不気味な天候に見舞われているだろう。
それは世界の扉が開く警告だ。
人間が間違っても世界に足を踏み込まない為の此方の警告。
間違って迷い込んだ人間の保証は守る事も出来ない。
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