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――その直後。
「先輩おはよーござい――」
そこにいたのは真希の妹、橘有希。元気一杯に部屋に入ってくるも、毎度ながらこの現状に慣れない様子で最後まで言い切れず、固まってしまうようだ。
「お、お姉ちゃん、毎回毎回先輩を困らせちゃだめだよ」
硬直状態がとけて直ぐに有希は、真希を俺から無理矢理引き剥がそうと頑張ろうとしたが――。
「早く起き――きゃっ!」
これも毎度の様に真希が俺から標的(ターゲット)を有希に切り替えてそっちに抱きついていった。
その隙に俺は有希に「ごめんな」と言い残して部屋から出ていった。
俺の両親は、高一の時に交通事故で失い、現在一人暮らしをしている。金銭面は感のいい母さんのお陰で何とか普通に暮らしていけるぐらいに余裕はあるから問題無いけど、今まで家事全般をやったことのない俺は幼馴染み(主に有希)のサポートがあったお陰で、今は一人で全てこなせるようにまでなった。
真希によって時間を削られてしまった為、朝食は白飯に味噌汁、目玉焼きと簡単なものを作ったのはいいのだが……まだ仲良し姉妹が来ない……。
深い溜め息を吐き、渋々俺は自室へ向かった。
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