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有希は先に朝食を済ませ、学校に行く準備をする為一旦家へ帰っていった。
「俺達もさっさと食べて準備するか……」
「そうだね」
「それじゃあ、いただきます」
「いただきます」
この幸せな日々がずっと続くと俺たちは信じていたのに意地悪な神様はこのあと俺達の運命を狂わせることに俺は勿論、真希も知る由もなかった――。
その後、朝食を済ませ真希も準備をする為家に帰り、俺は自室へと戻った。
部屋の扉を開けると真希が何やら怪しい行動をしているが、俺が視界に入ったその途端に何かを後ろに隠した。
「有希……俺の部屋で何をしてるのかな~?」
「え~と、さっきお姉ちゃんに襲われた時に先輩とお姉ちゃんから貰ったヘアピンを落としちゃって……」
「それで俺の部屋に忍び込んで探し回った訳か?」
「ごめんなさい……あと、探してるときにたまたま見つけちゃったんだけど……」
何か躊躇った様子で後ろに隠している物を恐る恐る俺の前に差し出す。
一瞬、俺の時間が止まった……。
有希が差し出した物は、男の聖書……別名『薄い本』。
「先輩、そういうのが好きなのですか……?」
「い、いや……俺も男なんだから別にいいだろ。それより時間が無いんだからさっさと探すぞ」
慌てて本を奪い取り、話を逸らす。
「まぁ、いいですけど……」
「――と、その前に一旦着替えるから部屋から出てもらっていいか?」
「別に私の事は気にしないで着替えちゃって下さいな」
平然とそんなことを言うが、いくら幼馴染みとはいえ年頃の男が女の子の前で平気で着替えれるわけもなく……。
「いいから、出ろ」
強引に追い出し、速攻で着替え始めた。
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