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パーティー会場の中に入ると、中ではダンスが始まっていた。
何組かの男女が曲にあわせて優雅に踊っている。
マチルダは中を見渡し、護るべき主人の姿を探した。
少し離れた場所で光姫とぬこが佐多や何人かの男女を交えて談笑しているのを認め、ホッと胸を撫で下ろした。
同時に寒波の姿を探すが、見廻りにでも行っているのか、見当たらない。
光姫とぬこの側に行こうと動こうとした時だった。
「踊らないの?」
背後から声をかけられ、驚いて振りかえる。
そこには先ほどの男――宮廷楽士と名乗るあの男が立っていた。
「踊らないの? 貴女と踊りたそうにしてる男達が貴女を見てるけど?」
不敵に笑うその男に少し苛立ちながら、マチルダは答える。
「ダンスなんて、やったことないから。それに言ったでしょう? 私はここに仕事で来てるんだって」
「ふぅーん……。もったいないなぁー……。人生、遊び心は大事だよ?」
言いながら、男がマチルダに手を差し出した。
「という訳で……俺と踊りませんか? 女騎士さん?」
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