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男の手からどうやって逃げようか。そんなことを考えている時だった。
マチルダの背筋に冷たいモノが走る。
(……これは!?)
自分たちを注視しているモノとは明らかに違う――異質な“気”
(これは……殺気!!)
しかも、複数――統率の取れた殺気。
男がクスッと笑う。
「貴女にもわかった?……どんなに隠そう隠れようとしてもさ……餌を与えれば……ネズミは出てくるモノだ!!」
男がのしかかるようにしてマチルダを押し倒す。
その勢いで仰け反ったマチルダの視界に見えたモノ。
喉に小さな銀のナイフが刺さり、声もなく崩れ倒れる男の姿だった。
グイッと抱き起こされて、マチルダと男の視線が絡み合う。
「……ネズミ退治」
男が楽しそうに言う。
そこで初めて気がついた。
男の袖口から覗く――数本の銀のナイフ。
腰にも装着している。
マチルダが男を睨む。
「流石だね、貴女を選んで正解。“あれ”を見て顔色一つ変えない。心置きなく……仕事できるよ!!」
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