LiberTango

14/25
前へ
/27ページ
次へ
空気を切るような音が耳を掠める。 周りの“殺気”が動揺したかのように動く。 「それとも……やっぱり気になる? 昔の仲間が殺られてくのは? 隊長さん?」 男が挑発するように聞く。 (こいつ……) 殺気がぐるぐると動く。 その殺気が“ある場所”を目指しているのがわかる。 マチルダは男に向かって妖艶に微笑んでみせた。 「確かに……気にならないって言ったら嘘になるけど……」 そっと男の腰からナイフを引き抜く。 そのまま、勢いよくターンをし、男から離れる。 ヒュッという空気を切る音と同時に、光姫とぬこの側に居た男が倒れた。 「“過去”より“今”を生きたい女だから、私」 「お見事」 艶やかに笑うマチルダに男が答える。 視界の端に、驚いた光姫がぬこを庇うようにして、抱き寄せているのが見えた。 マチルダが舌打ちする。 「ったく、あのアホ総帥……。今頃気づいたんかい。ぬこ様も一緒なんだ……。もっと危機感持て、危機感」
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

48人が本棚に入れています
本棚に追加