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空気を切るような音が耳を掠める。
周りの“殺気”が動揺したかのように動く。
「それとも……やっぱり気になる? 昔の仲間が殺られてくのは? 隊長さん?」
男が挑発するように聞く。
(こいつ……)
殺気がぐるぐると動く。
その殺気が“ある場所”を目指しているのがわかる。
マチルダは男に向かって妖艶に微笑んでみせた。
「確かに……気にならないって言ったら嘘になるけど……」
そっと男の腰からナイフを引き抜く。
そのまま、勢いよくターンをし、男から離れる。
ヒュッという空気を切る音と同時に、光姫とぬこの側に居た男が倒れた。
「“過去”より“今”を生きたい女だから、私」
「お見事」
艶やかに笑うマチルダに男が答える。
視界の端に、驚いた光姫がぬこを庇うようにして、抱き寄せているのが見えた。
マチルダが舌打ちする。
「ったく、あのアホ総帥……。今頃気づいたんかい。ぬこ様も一緒なんだ……。もっと危機感持て、危機感」
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