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「あの人に……よっぽど惚れてんだな。マジで妬けるね」
ぶつぶつと文句を言うマチルダに男が言う。
「貴女の心の中は、あの人でいっぱいなんだ。妬ける。俺と踊ってる時ぐらい……俺の事を見てよ」
そう言われてマチルダが鼻でハンッと笑う。
「あのさ、さっきから何か誤解してるみたいだけど……“あれ”、そういうのと違うから」
もしも――もしも光姫が――今の吐き捨てるように言ったマチルダのセリフを聞いたなら――間違いなく突っ込むだろう。
『ノートリ総帥をなんだと思ってんだ』
と――
「そう? 本当は……俺なんかより、あの人とこうやって身体を重ねて踊りたかったんじゃないの?」
男がマチルダを横に抱きながら、ナイフを投げる。
「いや、あのさ……ホント、勘弁してよ……。子供テンチョの面倒なんか見きれんよ。私。ぬこ様に任せる」
言いながらゆっくりと身体を起こす。
「ま、尊敬はしてるんだけどね」
それと……とマチルダは再び男の背中からナイフを引き抜く。
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