48人が本棚に入れています
本棚に追加
その一団がパーティー会場に現れた時――一瞬にしてパーティー会場が静寂に包まれた。
先頭を歩く壮年の男。アルマーニのスーツを軽く着崩し、蠱惑的な色気を振り撒いている。
その半歩後ろ。
長い金髪をなびかせ、端正な顔に微笑みを浮かべ、けれども冷徹な空気を放ちながら、黒い詰襟風のスーツを着た若い男が従い歩く。
さながら――主人に従うドーベルマンのように――
少し遅れて、二人の男女が歩く。
着なれないタキシードに緊張した面持ちの――その眼の奥に熱い情熱を秘めた男が、真紅のドレスに身を包んだ美しい女性をエスコートしながら。
そして最後尾を歩く女。
華やかな真紅のドレスとは対照的な黒のカクテルドレスを着た女。
アクセサリーは小さな銀のピアスのみ。
だが、それがかえって女の魅力を引き出していた。
静寂に包まれたパーティー会場をその一団は臆する事なく闊歩する。
光と闇。陰と陽。
相反する魅力を振り撒きながら歩くその一団を見て、パーティー会場のギャラリー達は確信する。
このパーティーの主役達が――登場したのだと――
最初のコメントを投稿しよう!