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「二人が心配ですか?」
寒波と呼ばれた男――五代目粉雪亭寒波がマチルダに微笑みながら、そう聞いた。
「まあね……。佐多シャチョの言い分もわかるけどさ……あの二人、結構、無理してるんじゃないかなとか思って」
「仕方ありませんよ。ノブレス・オブ・リージュ。あの二人にはその事が常につきまとう。宿命みたいなもんです」
「ノブレス・オブ・リージュ……ね……」
寒波の言わんとしている事はよくわかる。
佐多――七代目佐多亨や光姫のような『名に力のあるクリエ』にはそれが常につきまとう。
だからこそ……いろんな方面の人間が彼らに繋がりを持とうと寄ってくる。
彼らもそれを拒む事はできない。否、許されないのだ。
だが、繋がりを持とうとする者の中には物騒な連中もいる。
『最重要危険クリエ』として政府に認定されている彼らには――常に命の危険にも晒されている訳で。
だからこそ――マチルダや寒波のような人間が――ガードについているのである。
荒事のプロであり、汚れ役のプロである彼らのような人間が――
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