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「て言うかですね……」
寒波がチラリとマチルダを見る。
「貴女にもその義務はあると思いますが?」
「私? 私は関係ないっしょ」
苦笑するマチルダに寒波が真顔になる。
「いや、それよりも。その“他人近寄るなオーラ”なんとかなりませんか? 凄く困るんですよ」
「ほっといてよ。つか、なんで寒波さんが困るの?」
「貴女にね……声をかけたい、でも声をかけられない男性がたくさん居てね。あからさまな敵意剥き出しで僕に聞いてくるんですよ。貴女のなんなんだって」
「はぁ? 居ない居ない。そんな男。寒波さんの気のせいっしょ」
「いや、気のせいって……鈍いにも程が……。や、もう良いです……」
鈍いと言われて、マチルダの眉が動く。
「寒波さんこそ。声をかけられたくってウズウズしてる女性がたくさん居るみたいよ? 私、スッゴい睨まれてるみたいなんだけど?」
「興味ありませんから」
「相変わらず、シャチョさん一筋なのね……」
そう言ったきり、後は沈黙が二人の間を支配した。
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