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……………………。
マチルダと男の間にビミョーな沈黙が走る。
「……………………んぁ?」
沈黙を破ったのはマチルダの珍妙な声だった。
「ちょっと、何? その反応?」
男が毒気を抜かれたように、脱力した。
「いや……なんか……さっぶい男が来たなぁーって思って」
「さ……。言うか? 普通? 初対面の……それもパーティーで、自分を口説いてきてる男に」
「あ、やっぱ、あれ、口説き文句だったんだ。さっぶい。超さっぶい。佐多んほいざー並みにさっぶい」
「佐多んほいざーって……あの人の事? あんた……スッげぇな……。大概の女はあの人の色香に当てられるのに……。俺、初めて見た。あの人をそんな風に切り捨てる女……」
「何? 貴方……あのオッサンの事知ってるの?」
「今度はオッサン扱い……。うん、まぁ……ね」
微妙な答え方にマチルダがいぶかしげな表情をする。
「貴方……何者なの?」
「俺? 気になる?」
男がニヤリと笑った。
その笑顔を見て、マチルダの中で何かが引っ掛かる。
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