八七木家

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八七木家

  「何してんだよ八七木…;  お前はアンカーだからここまででいいんだよ」 「あぁ――…、うん」  適当に返すと「目上の者には敬語!#」とぶつぶつ言いながら担任は腕を組む。 (分かってるっつの……)  そんなことは物心ついた時から知ってるんだよ。 「いいかーお前ら!  あと1週間切るからな!  気合い入れてけ―!」  言葉遣いは荒いがこの担任は女だったり。  クラスの奴等も一応「おー」と声を上げるものの、視線がバラバラだ。 「あぁ八七木、放課後の委員会のことは聞いてるか?」 「…ハイ」 「お前もせっかく選ばれたんだから、なったからには精一杯やるんだぞー」 「… … …」  全校体育の後の担任はテンションが高いから苦手だ。上機嫌で職員室に向かう姿を見届けてから、俺も教室を目指して歩く。 「今日すっごい速くなかったー?!」「ホレちゃうよねー」「確か八七木君てピアノも弾けるんでしょ?」「マジ?超カッコいー!」  聞こえない 聞こえない 「お金持ちだしぃ」「玉の輿狙いたいよ笑」「あの大きな会社、継ぐんだって」「えー すげー」  うるさいな 「八七木」  黙れ 「八七木」  俺はこんな家 継がない! 「席に着け、  ショート始まらないだろ!」 「あ…」
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