耳に残る景色。

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耳に残る景色。

  That's why I don't like him  あいつは確かにそう言った  あの時俺は5歳だった 不思議なことに そんな幼い年でも 印象づいた感覚は 時間が経とうと消えないらしい 金髪 茶髪 黒髪 青い瞳 黄色い瞳 茶色い瞳 何言ってるのか解らない "ざっわぁい どん らいク ひん" 俺にはそう聞こえた "ざっ"は確か 『あれ』 "あい"は『じぶん』 "らいク"は『すき』 "わい"は『どうして』 生きるために 身に付けた単語の意味を 重ねて ひっつけて 考えて ぼくが すき?     じゃあ なんで Hey,why you follow me!? なんで にげるの  ねぇ まって Go away!  いく? どこに? Huh?? Go anywhere you like,don't you?! まって まってよ 「おい」  どういう意味…――― 「待てって八七木(やなぎ)!  どこまで行く気だお前はぁ――――っ!!!#」 「!」  俺はいつの間にか自分のゴールラインを過ぎて、反対側まで走っていた。
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