108人が本棚に入れています
本棚に追加
差し出された手を掴み、立ち上がる。置いていた眼鏡を拾い顔にかけて、制服についたホコリを落としていると手首を掴まれた。
「ねぇ、一緒に食堂行こ?」
「いいですよ。」
断る理由もなく了承する。なぜか俺の手首を掴んだまま、先輩は歩き出した。俺は振りほどくこともせず、引っ張られるまま後をついて行く。
開いたままの食堂の中に入ると、つんざく悲鳴が食堂全体を覆った。
咄嗟に耳を塞ぐが、キーンと鳴っている。
「耳おかしくなる…。」
「俺は慣れたよ…。」
苦笑いを浮かべる先輩に何といえばいいのか分からず、ただ先輩の顔を見つめた。
「幸様だ!」
「今日はお一人なんですね。」
「隣にいるのは誰?」
「一年の特待生の子じゃない?」
こそこそと何か言うのが聞こえてくるが、罵声は聞こえてこない。何か言われると思っていたのに。
※修正
主人公の眼鏡をかけている設定を忘れており、5ページを少し修正しました。屋上で昼寝をする際眼鏡を外した。という表現が入りました。メガネかけたままだと、キスしにくいのでね(笑)
ご迷惑をおかけしました。
最初のコメントを投稿しよう!