魔女を愛した男改訂版。

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東日本大震災が起きる、数年前。 福島県の沿岸部にあるとある小さな町、 季節は冬、冷たい風が吹き荒れ雪も舞っていた。 畑の中の一軒家、家の中には小学生の少年が一人いた。 そこに来客あり。 「小次郎、母さんは。」 「すぐ戻ると言って一昨日から帰って来ないよ。」 「何帰ってこねえ、家賃もたまってるし。 まったくどこに行った。 寒いな、小次郎 灯油あるのか。」 「ないよ。」 「まあいいさ、後で持って来てやっから。」 この時小次郎は見捨てれたと悟ったのだった。 数年後。 父親と母方の祖母。 小次郎の父親は悪質な詐欺商法で実刑判決を受け服役して。刑期が解かれ帰郷して母方の祖母と会っていた。 「婆さん元気かや。」 「なんだ生きてたのか務所帰り。 オメエの女房は家出、小次郎は仙台の施設だよ。」 「家出、施設どのような意味だ。」 「知らねえよ。とにかく二人はここにはいね。」 「そうか、俺が逮捕され仕送りが途絶えだろうからな。」 「何が仕送りだ、どうせ人様から巻き上げた金だろう。」 「婆さんなあ、なんでもかんでも疑うじゃないよ。」 「ならなんで戻って来た。」
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