プロローグ

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名前を呼ばれ振り返ったエリカが笑顔になる。 『 パパ!』 「 化粧室に行くと言ったっきり戻って来ないから心配したぞ?」 やれやれと苦笑いを浮かべながらエリカの父親が言うと『 お仕事はもう済んだの?』エリカが質問した。 「ああ、終わったよ。待たせて、すまん。 帰りにデパートで洋服を買いたいと話していただろう?行こうか」 『あ。それが……お小遣いもうなくなっちゃった』 エリカがペロリと舌を出した。 「 持ってきたのはもう使ったのか? 一体いつの間に……?」 父親が不思議そうな顔を浮かべた。 『ブランド服やバッグよりも もっと大切なものに使ったの。 だから今日のショッピングは諦めるわ、パパ』 「 訳がわからんが……まぁ、いい。 明日からエリカも研修が始まるから父さんが買ってやるさ」 なんだかんだ言って 父親は娘には甘いものである。 『ほんとに!?やった!じゃあ 行きましょ!』 父親の腕を取り半分おどけた様子で エリカたちは屋上を後にした。
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