エピローグ

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「今回の国税庁査察が一斉調査に入った一連の ニュースにおきましては国民の皆様に大きな不安を与えたことを深くお詫び致します。 わたくし共、財務省におきましても国内最大手企業である桜物産株式会社 及び関係する取引会社合わせた16社の告発問題を真摯に受け止め 早急に関連会社また、全国民の皆様の救済に 全力を注ぐ体制を整えております。 すでに各テレビ局にて国民の皆様へお知らせしております救済相談窓口は 全国50箇所に設置して 24時間、職員が対応しておりますので そちらへ問い合わせして頂きますよう 宜しくお願い致します」 財務大臣の早乙女 洋一が よく通る声で丁寧に会見してゆくと 「今回の事件は私共も大変驚きましたが 政府の素早い救済活動のお話を聞きまして 国民の皆様の不安もかなり軽減されていることと思われます」 感心するように記者が答えた。 「国民の皆様の心中はいかばかりか 非常に心苦しい思いではありますが やはり悪質な脱税はけして見過ごす事は出来ない。 このような判断を致しまして今回は一斉調査に踏み込みました。 これまで国税庁では 全国12ある国税局と足並みを揃え 非常に悪質な脱税の告発を数多く行ってまいりましたが国民の皆様、お一人お一人の納税に対する意識もさらに一歩、改めてご理解を深めて頂きたいと思っております」 記者の言葉を受けて国税庁長官の早瀬が続けた。 まさに財務省と国税庁の連携プレイである。 大変な損害や被害を被った企業や国民の救済に全力であたるという 財務大臣の力強い発言は 記者会見を見ていた人々の心に好印象を与えた。 けして切り捨てるつもりではなく 国をよくしたいとの強い信念を大臣や長官の言葉から感じ取れた為である。
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