エピローグ

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「おはようございます!」 エリカが査察部に入ると あちらこちらから朝の挨拶が聞こえてきた。 『おはようございます』 エリカが笑顔で返すと みんなも笑顔になる。 初めて この場所に足を踏み入れた時とは空気が変わっていた。 一発目に告発した最大手会社は 国税庁査察部も一丸となり成果を出せた。 共に苦労を分かち合ったことで 職員たちのエリカを見る目も大きく変化したのだ。 「なかなかやるわね、統括官」 エリカの噂話をしていた女性職員が呟くと 「ああ。彼女が何故統括官に抜擢されたのか 今回ので少しわかったよ」 一緒に噂していた男性職員が頭をかいた。 「私ね。今回の調査で初めてこの仕事が楽しいって感じたの」 女性職員が微笑むとエリカに視線を向けた。 『早速ですが』 一番奥の窓際に立ち エリカが皆をグルリと見渡した。 『次はもう少し厄介な調査に入る予定です。 皆さん、いいですか?』 隣で部長の加瀬が苦笑いしている。 今度は一体どこだ…? 皆の顔が一瞬引き締まる。 『また皆で力を合わせて頑張りましょう』 「はい!」 「はい、やりましょう!」 部署内に活気が溢れる。 「頑張ります!」 渡辺が一番後ろで大きな声を出すと 周りから笑いが溢れた。 『ありがとうございます。 次のターゲットは………、』 エリカが立つ後ろの窓から 雲一つない真っ青な空が見えた。 朝日が射し込む部署内の職員たちの顔は 明るくやる気に満ちていた。   【 告発① 完 】
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