プロローグ

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―――これは今から少し前の話。  一人の悪魔がいました。その悪魔は欲が強く、レジエカ大陸全土を、金を、権力すべてを支配しようと考えます。悪魔は村を襲い自身の力を人間たちに見せつけ、奴隷になるよう告げました。悪魔の力は強力で、逆らう者は即座に殺されてしまいました。人間たちは恐れ悪魔に従います。そうするしかありませんでした。  悪魔は手当たり次第に村を訪れ、次々と支配していきます。その悪魔の風評を聞きつけ、どこからか同族が集い、また自ら忠誠を掲げる人間も現れました。悪魔は力をどんどん付けていき、いつしか魔王と呼ばれる存在になりました。  レジエカ大陸を統治する五大国の王達にもついにはその悪魔は見過ごせない存在になりました。  ある国が兵を出し魔王討伐に向かわせました。以降その兵士たちの行方を知る者はいません。  他の国がもっと多くの兵を魔王討伐に向かわしました。誰一人として帰ってきません。  王達は気付くのが遅すぎたのです。魔王の強大さに。  正義があれば悪があるように、その逆も然り。ある時、小さな村で一人の少年が魔王を討ち倒そうと立ち上がりました。その少年は特別腕っ節が強いわけではなく、強力な魔法が扱えるわけでもありません。ですが、その少年には誰よりも世界を救おうとする覚悟を秘めており、その覚悟がどんな屈強にも立ち向かえる粘り強さを生み出しました。
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