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…リリリリリリリリリリ…
リリカルギフトが鳴り響く中、癒月は何食わぬ顔で自分の部屋に帰ってきた。
「ただいま」
部屋の中で正座をして待っているアメジストに言いながら、カバンを下ろした。
「…癒月、ちょっと来るスト」
「イヤ」
アメジストの呼び掛けにピシャリと即答した癒月は大きなクッションへダイヴした。
そして周りにあるのクッションを集めてゴロゴロと左右に揺れる。
「あ、さる日の魔術師読まなきゃ」
そして本棚から文庫本を手に取り、読み始める。
「ええい!いつまでもゴロゴロと!」
ダンッと脚を立てて癒月を指差すアメジストだが、
「誰の害にもなってない」
興味なさ気に答えられた。
「それだけリリカルギフトが鳴っていて良く…!」
そうこう言ってる内に鳴り止んでしまった。
「ほら止まった」
「あ…あんたには情ってモノを持ち合わせてないのかスト!!」
「生憎無いね。欠片も」
怒鳴るアメジストを尻目に癒月はそのまま本を読み続ける。アメジストの大きな溜息が部屋に響いた。
「いい加減に…」
狐から人間に化け、大きなクッションをガッと掴む。
「しろぉーーー!!」
「あーれー」
そして引っぺがす。勢い良く引っ張ったのでクルクルと回る癒月。「アンタ何度言ったら分かるんだよ!」
わなわなと奮えながらドスの利いた声で言う。
「耳だこ」
「じゃあ分かってるね!」
今度は癒月がため息を吐く番だった。
「ぼくは何にもしない。ここで本を読む。だから邪魔するな」
癒月は腕を組むアメジストをジロリと睨む。
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