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和金と言うのはクラスメイトの『陸奥 和金(ムツ ワカナ)』の事だ。
彼は財閥の御曹司で、日光の友達であり、幼なじみだ。引っ越してしまい家が遠くなったが、それでも暇のある日は遊んだりもする。
和金を呼んだ理由。
それは親が忙しく、なかなか自分に割く時間がない事を分かっているからだ。日光はなるべく迷惑を掛けたくないのだ。
そのためクタクタになって自力で帰られない日光は和金を呼んだ。
日光は和金が来るのを待つ。
「カーネリアン、修業ありがとな」
ぽつりと小声で呟いた。そして優しく頭を撫でる。
カーネリアンが静かに頬を膨らませていると和金の乗った車が来た。
「お~!和金~!サンキュ~!」
「いえ、帰り際でしたので寄らせていただきました」
「マジで?じゃちょうど良かったじゃん!」
「では、このまま家にお送りしますね」
「はいよ~ろ~し~く~」
カーネリアンを膝に乗せながら和金に寄り掛かる。和金は苦笑しつつも日光を退けなかった。
和金は知っていたのだ。日光がへろへろに疲れている事を。そういう時にしか呼ばない。しかも、電話して来るのは、必ず和金が下校時や和金の親が経営している会社から帰る時だ。彼なりの気遣いなのだろうか。しかし呼ばれる辺り"都合の良い足"と思われてるのかもしれないな、と思いながら和金は小さく笑った。
隣の日光は和金の肩を枕にし爆睡していた。
「お家に帰るまでですからね」
和金は小さく呟くとカーナビのニュースに目を向けた。
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