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しばらく車は走っていたが、日光の家の前で止まった。
「日光、日光。ほら、着きましたよ」
和金は日光を揺すりながら声をかける。
「ん~?マジで~?」
日光は目を擦り大きな欠伸を一つ。そして自分の家を確認すると、和金に笑いかける。
「ありがと~!」
「いえ、また学校でお会いしましょう」
和金はニッコリ微笑み日光を見送る。日光は手を振りながら誰もいない家にただいまを言う。
「まーったく!きみの友達も甘いアン!」
家に入った瞬間、カーネリアンは頬を膨らませながら言う。
「はぁ~。カーネリアンは~黙ってらんないのかな~?」
日光は溜息を吐くが、カーネリアンの愚痴はまだ続きそうだったため口を塞いだ。
「お・だ・ま・り」
と囁き頭を撫でる。カーネリアンは耳まで真っ赤にし黙った。
「こ、今回だけアンよ…」
「今回だけね」
日光はニッと笑った。そしてエプロンをして台所に立ち、料理を始める。
両親共々忙しい仕事のため、必然的に早く帰って来る日光が晩御飯を作る。それが日課になっていた。それに対して日光は文句も言わず、むしろ愛情込めて料理を作っていた。
一人での留守番もなれたもので、きちんと勉強までする意外と真面目振りをカーネリアンに見せ付けた時もあった。
「で~きた」
自分の作った料理を皿に盛りつけ、テーブルに運ぶ。もちろんカーネリアンの分も作った。
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