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「水野……、それは……」 名前を呼ばれただけなのに、ますます熱くなる。 その場に留まっていられなくなって、そこから走って逃げ出した。 「みっ、水野!?」 背中から、遠く呼ぶ声が聞こえる。 ばれた! 絶対に、ばれた! あんな態度、「好き」って言ってるようなもの。 逃げてどうするの。 何か言うべきだったんじゃないの? 否定とか、肯定とか。 結局、森山くんと庄野さんの間柄も、ハッキリ聞いていない。 「もー、ばか……」 廊下の突き当たりで立ち止まり、壁に手をついて呟く。 次に会うとき、どんな態度で接すればいいんだろう。
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