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教室に近づくにつれ、足取りを遅くさせ、出来るだけ靴音を小さくさせる。
「お前、最近ずっと、その本ばっかりだな」
教室の前まで行くと、声が聞こえてきて、ビクッと肩を震わせ足を止めた。
宮本くんだ。
戻ってきたんだ。
「その本」って、私が森山くんに貸した……?
「智宏と文芸書。いつ見てもコントみてー。ひとりコント的な」
「俺、寂しすぎるだろ、それ」
ふたり分の笑い声が上がる。
立ち聞きなんていけないことだって分かるけど、さっきの私の話題が出るんじゃないかと思うと、その場を離れられない。
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