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「そうか? 割と可愛いと思ったんだけどな」
「それより、和幸、庄野ってどう思う?」
そして、森山くんの声で紡がれた言葉は、……庄野さんのこと。
「どうって?」
「やー……、んーと、あいつ可愛くね?」
やめて。やだ。
「まぁ、可愛いよな。顔は」
「顔以外でもさ、あいつ結構可愛いとこあんだろ? ほら、犬と遊んでるとことかさ」
「犬て。確かにあいつの犬は可愛かった」
「今、犬の話じゃねぇし」
そんなことを、森山くんの口からは聞きたくない。
他の女の子の話なんて。
『森山くんと翠ちゃんって、やっぱり付き合ってんのかな?』
思い出したくない。
やめて……!
「何だよ、やたら庄野押すじゃん。お前、庄野好きなんだっけ?」
その答えを聞く前に、私はその場から逃げ出した。
森山くんから逃げるのは、今日だけでもう二回。
やっぱり、森山くんは、庄野さんのことが好きなんだ。
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