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「誰かが拾ってくれたんじゃね?」
「さーな……、どうだろ」
歯切れの悪い返しをした後、森山くんはまた私を一瞥した。
「――!」
また、目が合った。
こっち……見てた。
私が生徒手帳を持ってたって、気付いてる?
……まさか。そんなはずない。
「おはよ……、和幸」
「あれ、なんか元気なさげ?」
庄野さんが、しゅんとした声で森山くんの席に近づく。
そして、なぜか宮本くんにだけあいさつを。
「てか、俺に「おはよう」は?」
「うるさい。智宏のくせに」
「俺にそんな口きいていいと? へぇー」
「ふーんだ。感謝してますぅー」
庄野さんが、珍しく森山くんに弱気な態度。
昨日なら、私もあそこに居たのかな。
あの人たちの間でしか通じない会話が、切ない気持ちになる。
私、自分勝手すぎる。
自らそこを離れたくせに。
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