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チャイムが鳴り、さすがに自分の席に戻る。 ……森山くんの隣は、空気が薄い。 「…………」 「…………」 お互い、何も喋らない。 なのに、右耳が痛い気がするのは、 「…………」 「…………」 横から、ジーッと視線を感じるから。 ぎょ、凝視されてる……? ずっと苦手だった、あの睨む顔で。 真っ直ぐ黒板向きに座る私とは違って、森山くんは体の向きを真横にして、思い切り私を見ている。 な、なんで? なんで!? 顔が熱い。 変な汗が出る。 呼吸の間隔が狭くなってくる。 100メートルを走り切った後より、心音速いかも。
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