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森山くんは、制服のポケットに手を入れ、手のひらサイズの何かを取り出した。 それ……は……。 「なぁ、この生徒手帳、俺の机に入れたのって水野?」 「――!? な、なん……で」 何で知ってるの? まさか、見られてた? 誰もいないと思っていたのに。 「水野って、俺のこと好きでいてくれたと思ってたんだけど、違った?」 「っ……!」 それも、ばれてる。 当たり前だけど。 言葉を探して黙っていると、腕を掴む手に力がこもって、 「何で逃げんの?」 「だ、だって……」 森山くんには、好きな人がいるから。 好きになっても、叶わないから。 ……森山くんが好きなのは、私じゃないから。 改めて考えたら、言葉よりも先に涙がポロポロ溢れてきた。 「えっ!? ちょっ……、え!?」 尖るような声が、一瞬で柔らかいものに変わる。 ビックリしてる。 違う……、泣きたいんじゃないのに。
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