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腕が離され、 「こっち……見ろよ」 囁かれる声に、後ろを振り返ると、赤く染まった顔と目が合った。 そして、目の前に生徒手帳を掲げ、 「これ、返すために話し掛けてほしかったんだよ。ずっと……気になってたから」 私の耳、大丈夫かな。 都合のいい言葉に自動変換しちゃうような鼓膜になったんじゃないよね? なんだか……、森山くんの方が先に好きでいてくれた……みたいに、聞こえるんだけど。 「なのにさ、何日経ってもそのままだし。てか、ずっとビビられてるし。結局自分から話し掛けるなら、変な小細工使うんじゃなかった」 「森山くん」 「ん?」 本当に? ……好きになってもいいの?
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