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その頃村長の家では冒険者パーティー『暁の旅団』を最後の砦として山賊の進行を食い止めていた。
男1「くっそ、倒しても倒しても切りがねぇ、蛆虫みたいに沸きやがって。」
両手に剣を持った30代前半のがたいの良い男が愚痴をこぼしながらも嵐のように剣を奮っていた。
その後ろでは短剣に弓を背負った20代後半の男が抜けてきた山賊をなんとか食い止めている。
「ドラム、そろそろ限界ですよ。クリスの魔力も切れそうですし、防御結界が切れたら僕らだけじゃ抑えきれません!」
「んなこたぁわかってる。背に腹は変えられん。クリスに高い魔力薬飲み干してでも耐えろって伝えてくれ」
ガルムが再び視線を先に向けると山賊の援軍が軽く20人は向かってきていた。
「おいおい、冗談だろ」
ガルムと弓の男がもはやここまでかと死を
覚悟するには十分だった。
「おーいこっちだ。冒険者に手こずってる。手伝ってくれ」
援軍が見え士気が上がり始めた山賊。
しかし此方に向かってくる山賊はみな顔が青ざめていた。
「略奪は中止だ。西に鬼の化け物がでた。正面には奴がいる。ここを抜けて東門から逃げるぞ」
そのまま砂煙を立て村長の家を迂回して通りすぎていく山賊達。
山賊の後ろ姿を見送る中、ガルムも弓の男も気がぬけたのかその場に座り込んでいた。
「アハハ、どうやら助かったみたいだね」
「ああ、そうらしいな」
後ろからクリスと呼ばれていた女性が杖と魔法瓶を片手に笑顔で手を振っている。
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