第1話

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「~~であるからーーで……」 ヘッドフォンから流れる音楽の合間に聞こえてくる教師の解説を聞き流し、机に突っ伏して窓の外を眺める。目の前、窓から身を乗り出せば届く薄紅は、窓を伝う雨水で歪んでいてうまく見えない。 お昼ご飯を食べた後の授業ということもあって、教室の中は静かで、教師の解説も単なるBGMになっていて僕以外にも机に突っ伏している奴がいるんだろう。偶に解説の合間に注意が飛ぶ。授業が再開されてもまた直ぐに注意が飛んで。 暇だ、なんて思いながら教室の中に向けた視線をまた直ぐに窓の外に戻す。 土砂降りのせいで薄暗い窓の外、いつもなら綺麗に風に舞う桜が雨に叩きつけられて地面に積もっていく。そんな花びらを眺め、憂鬱になりながら早く授業が終わらないかな、なんて考えてゆっくり瞼を閉じた。 .
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